エレクトロなビートを合図に、ダンサーの動きとシンクロしたプロジェクションマッピングが映し出される。そして、もはやダンスフロアと化した場内に「Stranger」のビープ音が鳴り響くと、目の前に立っていたのはもちろん、ダンサー陣を従え、スポットライトを浴びて凜と佇む安室奈美恵だ。

「やばーーい!」

 ダンスフロアにあなたを連れ出し(「Stranger」)、華麗に踊る姿で魅了する(「Ballerina」)。クールにそう歌う美しきポップ・クィーンの姿に、場内から驚嘆の声が上がる。黒いビスチェ風トップス&パンツという、ファイターのようなスタイル。タフネスな歌声と、ピンヒールのニーハイブーツで繰り出す見事なダンス。デビューから25年、自分のスタイルを貫くため、どんな時も戦い続けてきた安室奈美恵。その歩みを想像させるような凛々しいオープニングに、鳥肌が止まらない。

 半円状のステージの背後に設置された、数枚の可動式LEDパネルに、ファンタジックな映像が映し出される。全国40都市のホールを廻った今回のツアー『namie amuro LIVE STYLE 2016-2017』には、ステージの様子を投影するスクリーンなどは設置されていない。ドームやアリーナよりもステージとの距離が親密な、ホールという空間。だからこそ、歌やダンスに込めた感情や熱を直に感じてほしい。そんな思いを体現するように、今回のツアーではいつにも増して、安室奈美恵は観客とのコミュニケーションを積極的に楽しんでいたように思う。

 シンガロングが恒例の「Contrail」では、<私は迷わない/答えは自分で探す>というフレーズに自身の思いを込めて歌い、傷ついた心を明るいリズムで包む「Baby Don't Cry」では、客席に手を振りながらコール&レスポンスを笑顔で楽しむ。アーミー柄のミニドレスで歌った「Hide & Seek」や「Every Woman」では迫力あるダンスで魅了し、「Baby Don't Cry」や、ステージに満天の星空が広がる中で歌った「Love Story」では、切ない気持ちにそっと寄り添う。さらに「Hero」では、まっすぐ客席を見つめ、目線の先に手を振りながら、<君だけのためのhero/どんな日もそばにいるよ♩>と歌う。赤いアシンメトリーのトップス姿でステージに立つ姿が、神話に登場する勝利の女神のように映るのも不思議ではないだろう。

 そして今回のツアー最大の見せ場ともいえる、「Fashionista」「Fighter」「Scream」と続く怒涛のアッパーゾーンでは、歌い踊る安室奈美恵の本領を発揮するべく、パワフルなフォーメーション・ダンスで観客を圧倒。しかも、歌い終わって暗転した後に浮かびあがるシルエットまでもが、最高に美しくてカッコいい。こんな具合に、歳月を経てもなお、永遠の憧れが凄まじくタフでカッコよくて美しいことが、私たちの誇りであり勇気の源なのだ。

 アンコールでは、ダンサー陣とともに繰り広げるパーティーチューンに加え、バラードも披露。観客と目線を合わせ、語りかけるように歌った「Dear Diary」では、<悲しみを強さに変えるように>というフレーズが、安室奈美恵自身の人生と重なって響く。MCをしないことでも知られる彼女だが、ホールという親密な空間で客席としっかり目線と合わせ、思いを込めながら歌った今回のツアーは、MCよりもずっと雄弁にその真意を伝えていた気がする。どんな時も私たちに勇気と力を与えてくれるのは、彼女の歌声とその潔い生き様。今までもこれからも、安室奈美恵は永遠に私たちのHeroだ。

text/早川加奈子

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